◆引上げ額の目安は全国平均7〜9円
厚生労働大臣の諮問機関である中央最低賃金審議会(小委員会)は、2009年度の最低賃金の改定額の目安を決定しました。35県については現状維持とし、最低賃金額が生活保護支給額を下回る12都道府県に限って引上げの方針を打ち出しています。その結果、引上げ額は全国平均で7〜9円となり、昨年度実績(16円)を下回る見込みです。
最低賃金は、企業が従業員に支払う義務のある最低限の賃金で、都道府県ごとに決まっています。現在は、最も高いのが東京都、神奈川県などの「766円」、最も低いのが宮崎県、鹿児島県、沖縄県などの「627円」となっており、全国平均は「703円」(いずれも時給換算)です。
今回の目安を反映すると、2009年度には最低賃金額は710〜712円となる見通しです。
◆景気後退の影響は
今回の審議においては、生活保護の支給額が最低賃金の額を上回る地域の解消と、昨秋以降の景気後退の影響をどうみるかが焦点です。昨年は47都道府県すべてで引上げが示されましたが、昨秋以降の急速な景気後退に配慮し、今回は35県を現状維持としました。
引上げを示したのは12都道府県にとどまりました。それも、最低賃金の額が生活保護の支給額を下回る状況を解消するのが狙いで、最も引上げ額が大きいのは東京の20〜30円、最も低いのは秋田の2円でした。
◆賃金の底上げは小幅となる見通し
2007年度・2008年度は賃金底上げを狙い、10円を上回る大幅な引上げ額の目安が示され、2009年度で引上げ実績は7年連続ですが、賃金の底上げは小幅になりそうです。
前述の小委員会は中央最低賃金審議会に結果を報告し、これを受け、審議会が厚生労働大臣へ答申する見通しです。その後、都道府県ごとの最低賃金審議会で議論され、各地域の引上げ額が決められます。今秋には新しい最低賃金が適用される見込みです。
【村岡社会保険労務士事務所グループサイト】
労働契約と就業規則対策室
労働基準法・労働法・労務管理実務一口メモ
大阪・派遣許可対策室(人材派遣業設立手続代行)