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不景気下における企業の人事面での対応策




◆企業はどんな対策をとっているか

労働政策研究・研修機構が昨年12月に行ったアンケート調査(全国2,734社が回答)の結果によれば、各企業が行った「経済情勢悪化への人事面の対応」として、以下のものが挙げられています。
(1)残業規制(26.1%)
(2)中途採用の停止・削減(21.5%)
(3)配置転換(14.9%)
(4)賃金制度の見直し(12.7%)
(5)来年度新規採用の中止(12.6%)
(6)派遣社員の契約打切り(10.3%)
(7)期間工などの雇止め(9.8%)
(8)従業員の賃金カット(8.3%)


◆希望退職・退職勧奨・整理解雇

また、上記で挙げられている以外にも、希望退職制度の実施、退職勧奨の実施、整理解雇の実施などを行わざるを得ない企業も多くなっています。
一般的には、整理解雇を実施するにあたっては、4つの要素(人員整理の必要性、解雇回避努力義務、人選の合理性、手続きの妥当性)が必要とされています。このうち、「解雇回避努力義務」について考えた場合、希望退職を募集せずに整理解雇を行った場合は「解雇回避努力義務」を十分に果たしたとはいえないと判断するのが一般的な裁判例の考えです。ですので、希望退職を募集した後に解雇整理を行うのが企業にとっての安全策だといえるでしょう。


◆リスク回避を十分に

希望退職を募集しても、これに労働者が予定人数ほど応募してこないことがあります。この場合、退職の条件を労働者に有利に設定し直し、2次募集・3次募集を行うことも考えられます。また、希望退職募集と平行して、退職勧奨を実施する企業もあります。
その場合、勧奨が民法上の強迫になることなどのないよう、慎重に手続きを進め、また、法違反と判断されることのないよう、専門家等に相談しながら進めていくのが企業にとってのリスク回避策となります。



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どうなる?「街角の年金相談センター」構想




◆構想が大きく揺らいでいる!

平成22年1月から予定されている「社会保険庁」から「日本年金機構」への移行に伴って、社会保険庁の「年金相談センター」の業務は「街角の年金相談センター」に引き継がれることとなっていました。しかし、今この構想が大きく揺らいでいます。


◆「年金相談センター」から「街角の年金相談センター」へ?

「年金相談センター」は、社会保険事務所の年金相談窓口の混雑を緩和するために、全国の都市(27都道府県51カ所)に置かれているものであり、来訪相談についての相談を承る窓口です。開庁日は月曜日から金曜日(国民の休日・年末年始の休日を除く)、開庁時間は午前8時30分から午後5時15分です。
この「年金相談センター」が運営している業務については、「日本年金機構」の設立に伴い、全国社会保険労務士会連合会が受託することになりました。これにより「年金相談センター」の配置換えを行い、すべての都道府県に「街角の年金相談センター」を開設し、社会保険労務士による年金の「対面相談」を実施する予定となっていました。
しかし、先の衆議院議員総選挙の結果により「街角の年金相談センター」構想にも「待った」がかかってしまったのです。


◆総選挙の結果が大きく影響

ご承知の通り、総選挙の結果、民主党による政権交代が実現しましたが、同党はその公約で、社会保険庁と国税庁を統合して新たに「歳入庁」をつくることを掲げています。
この公約実現の一歩として、「社会保険庁」から「日本年金機構」への移行が凍結される公算が大きいようであり、「年金相談センター」から「街角の年金相談センター」への移行についてもストップがかかるのでは、という報道がなされています。
先行きは不透明であり、今後の動向に注目しなければなりませんが、いずれにしましても、国民にとっては「年金記録問題の全面的な解決」、「新たな年金相談体制の整備」が望まれるところです。



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「ジョブ・カード」取得者が10万人を突破




◆「職業能力」「職業意識」が整理できるジョブ・カード

職業経験が少ない人の就職を支援するため、厚生労働省が2008年4月から始めた「ジョブ・カード制度」ですが、カードの取得者が今年6月末で累計10万人を超えたことがわかりました。


◆「ジョブ・カード」のねらい

ジョブ・カード制度は、企業現場でのOJT(実習)、教育訓練機関等でのOFF-JT(座学等)による職業訓練を通じて、フリーターや子育て終了後の女性など、職業経験の少ない人の能力を高め、就職を支援することをねらいとしてスタートしました。
ジョブ・カードの発行希望者は、企業現場・教育訓練機関等で実践的な職業訓練を受け、その評価結果である評価シート等を取得し、これを自らの職歴・教育訓練歴、取得資格などの情報とともに「ジョブ・カード」としてとりまとめます。
ジョブ・カードを作成することにより、自分の職業能力・意識を整理することができるだけでなく、作成したジョブ・カードは、常用雇用を目指した就職活動や職業キャリア形成に幅広く活用することができるとされています。


◆制度自体の認知度は依然低い

ただ、制度の導入からまもなく1年半が経過しますが、制度自体の認知度がまだまだ低く、そのメリットが広く知られていないため、当初の目標である「5年間で100万人」のジョブ・カード取得者数には現状では厳しい状況です。
そこで、ジョブ・カード制度を広く普及させるための具体策として、国・産業界・労働界・教育界等で構成される「ジョブ・カード推進協議会」において、「全国推進基本計画」が定められています。
内容は、「ジョブ・カード制度」の周知および広報、職業能力形成プログラムおよび実践型教育プログラムの普及、受講者等の就職促進、ジョブ・カード様式の普及、キャリア・コンサルタントの養成です。
ジョブ・カード制度の趣旨や目的が一般にわかりやすい形で周知され、この制度の対象者となる求職者および受入れ企業が円滑に利用できるようになるには、さらなる対策が必要でしょう。


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若年層に対する重点雇用対策の最終案



◆政府プロジェクトチームによる最終案

政府が7月に立ち上げた「若年雇用対策プロジェクトチーム」による重点雇用対策の最終案が明らかになりました。この対策には、企業の採用抑制により学校を卒業しても未就職である若者を雇った事業主に対して助成する新制度の創設など、約20項目が挙げられています。
その主なものは以下の通りです。


◆重点雇用対策の主な内容

(1)若年雇用対策の総合的推進(内閣府)
…国・地域において「若者雇用推進会議(仮称)」を開催するとともに、若年雇用に関し、「将来雇用見通し・若者雇用推進アクションプラン」の策定等を行うための基礎調査(採用側の企業や学生等へのアンケート調査等)等を実施する。
(2)民間機関のノウハウ活用、専門人材育成等によるキャリア教育プログラムの効果的推進による若者の職業への円滑な移行支援(厚生労働省)
…中学、高校生等を対象に、キャリア・コンサルティング等の専門性を活かし、キャリア教育の企画・運用を担う専門人材の養成や、キャリア教育を推進する民間サポート機関の育成・活用等に、関係行政機関等が連携して取り組む。
(3)未就職卒業者早期就職プロジェクト(厚生労働省)
…若者の応募機会の拡大に向けた企業の取組みを促進するとともに、未就職卒業者が応募可能な求人の開拓、事業主への助成措置等を行う「未就職卒業者早期就職プロジェクト」を新たに実施する。
(4)ジョブ・カード制度の一層の展開(厚生労働省)
…ジョブ・カード制度の一環として、新たに、キャリア形成の過程をモデル化したキャリアマップの作成、各種検定の整備、モデル評価シートの多様化等の産業分野ごとの展開に向けた基盤整備を行い、職業訓練に活用する。


◆実施については不透明な部分も

これらの対策は、各省庁が2010年度の概算要求に盛り込み、予算要求の規模は合計で約374億円です。
ただ、先の総選挙により政権が交代し、一部予算の見直しも検討されていることから、実施にはまだまだ不透明な部分もありそうです。


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高年齢者を雇用する事業所の割合が増加




◆高年齢者雇用の実態は?

昨年9月に厚生労働省が実施した「高年齢者雇用実態調査」の結果が発表されました。この調査の目的は、高年齢者の雇用状況や、平成18年に改正された「高年齢者雇用安定法」の施行後の実態を把握することです。


◆全体的に増加している高年齢労働者の割合

まず、60歳以上の労働者を雇用している事業所の割合は59.4%(平成16年の前回調査では50.5%)で、前回調査時に比べて8.9ポイント上昇し、企業規模が大きいほど割合が高くなっています。
事業所の全常用労働者に占める高年齢労働者の割合でも、60歳以上の労働者の割合は10.0%(同7.6%)で前回調査時に比べ2.4ポイント上昇しています。
産業別では、60歳以上の労働者を雇用している事業所の割合は、製造業が81.1%と最も高く、次いで建設業が71.1%、運輸業が69.6%となっています。


◆定年年齢65歳以上の事業所割合が上昇

定年制がある事業所の割合は73.5%(平成16年の前回調査では74.4%)、逆に定年制がない事業所の割合は26.5%(同25.6%)となっています。
事業所の規模別に定年制がある事業所の割合を見てみると、1,000人以上規模が99.8%と最も高く、5〜29人規模が69.6%と最も低くなっています。また、前回調査時に比べ、定年年齢65歳以上の事業所割合が上昇しています。


◆9割近くの企業が「継続雇用制度」を導入

一律に定年制を定めている事業所で定年年齢が60〜64歳の事業所では、「継続雇用制度」がある割合は89.1%で、このうち「勤務延長制度」があるのは27.3%、「再雇用制度」があるのは83.5%となっています。
また、「勤務延長制度」がある事業所のうち、「勤務延長制度」のみがある事業所の割合は16.5%、「再雇用制度」がある事業所のうち、「再雇用制度」のみがある事業所割合は72.7%となっています。
平成18年に改正された「高年齢者雇用安定法」による段階的な65歳までの定年年齢の引上げや、継続雇用制度の導入義務付けが浸透し、ベテラン社員の経験・能力を有効活用する企業が増えている実態がうかがえます。


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アルバイト・パート社員の「働く理由」「辞める理由」




◆どんな理由が多いのか?

大手人材総合サービス企業が、アルバイト・パートとして就業中の労働者(約3,000名)を対象に、「働く理由」・「辞める理由」に関する意識調査を実施し、その結果が発表されました。


◆働く理由…「趣味」「貯金」の減少が目立つ

「働く理由」については、「生活費を補いたかったので」(42.9%)が最も多く挙げられ、次いで「趣味に使うお金が欲しかったので」(36.1%)、「時間を有効に使いたかったので」(33.3%)と続いています。
昨年の結果と比較すると、主な理由が軒並みポイントを下げている中で、「生活費を補いたかったので」が0.7ポイントとわずかながら増加しています。また、昨年に比べて減少した項目の中では、「趣味に使うお金が欲しかったので」(9.1ポイント減)、「貯金を増やしたかったので」(4.8ポイント減)の減少が目立っています。
遊びのためや生活の余裕を得るためではなく、生活費を稼ぐ必要に迫られてアルバイト・パートを始めた人が増加していると考えられますが、アルバイト・パートであっても、よりはっきりとした目的意識をもって仕事に向き合う層が増えている結果とも考えられます。


◆辞める理由…「店長や社員の人の雰囲気が悪いから」が増加

一方、「辞める理由」については、「店長や社員の人の雰囲気が悪いから」が24.2%で最も多く挙げられており、次いで「給与が低いから」(16.2%)、「楽でない・疲れる仕事だから」(15.0%)と続きました。
昨年の結果と比較すると、最も多かった理由は「店長や社員の人の雰囲気が悪いから」で変化はないものの、今年は5.8ポイントの大幅な増加となっています。
また、「給与が低いから」は昨年から4.1ポイント、「もっとよい条件の仕事が見つかったから」は3.9ポイント伸びています。


◆仕事の選択基準はよりシビアに

これらの結果から、パート・アルバイトの方が、生活費を補う傾向がより強くなっていると同時に、人間関係に加え、給与や条件面でよりシビアに仕事を選んでいる様子が見て取れます。



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霞が関(中央省庁)に「認証保育所」開設へ



◆国土交通省に保育所を開設へ

国土交通省は、同省内に今年10月に保育所を開設し、役所だけでなく周辺の一般企業に勤める人の子どもも受け入れる方針を明らかにしました。最近では、大企業を中心に企業内に託児所などを設置するケースも増えつつありますが、こうした取組みは霞が関を中心とした中央省庁では初めてで、注目を浴びそうです。
この保育所の名称は「かすみがせき保育所」で、定員は30名、0〜5歳児の子どもを受け入れる予定とのことです。東京都が独自に認めている「認証保育所」として設置されます。


◆「認可保育所」とは?

保育所といった場合、まずは「認可保育所」があります。「認可保育所」は、児童福祉法に基づく児童福祉施設のことであり、施設の広さ、保育士等の職員数、給食設備、防災管理、衛生管理などの国が定めた設置基準をクリアして、都道府県知事に認可された施設のことです。
保護者が仕事や病気などの理由で、0歳〜小学校就学前の子どもの保育ができない場合に子どもを預かり保育します。市区町村が運営する「公立保育所」と社会福祉法人などが運営する私立の「民間保育所」がありますが、認可保育所は公費により運営されます。


◆「認証保育所」とは?

これに対して「認証保育所」は、広い敷地を確保できないなど、「認可保育所」の基準を満たしていなくても、自治体が独自の基準を定めて「認証」した保育所のことです。自治体が民間企業などの事業者に対して運営費を補助することにより成り立っています。利用者は、保育所と直接契約する必要があります。
なお、東京都では、2001年にこの「認証保育所」の仕組みを導入し、8月1日現在、都内に457カ所あるそうです。


◆待機児童の問題

ここ最近「待機児童」が大きな社会問題となっています。保育所入所資格を有して入所を希望していても、保育所の施設定員を超過するなどの理由から入所できない状態にある児童のことです。
前述の「かすみがせき保育所」の設置も待機児童対策の一環だと言われていますが、待機児童対策がさらに進んでいくことが期待されます。


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タグ:待機児童

「債権法改正」で契約ルールが大きく変わる?




◆「契約」に関するルールの大幅な見直し

法務省は、現在、市民生活・企業活動における様々な「契約」に関すルールを改めるため、「債権法」(民法の債権に関する規定)を全面的に見直す方針を示しています。
「債権法」の全面改正が行われるのは、1898年(明治31年)の施行以来始めてのこととなります。


◆「民法」の歴史

民法は、1890年に公布されたものの施行されることなく終わった「旧民法」の修正法として、「財産法」(総則、物権、債権)に関する部分は1896年に、「家族法」(親族、相続)に関する部分は1898年に公布され、いずれも1898年に施行されたという長い歴史を持っています。
「家族法」に関する部分については1947年(昭和22年)に一度全面的な見直しが行われましたが、「財産法」に関する部分については、これまでに数々の重要な改正が行われてきたものの、全面的な見直しが行われることはありませんでした。


◆なぜ今見直しなのか?

今回、「債権法」の見直しが検討されている背景には、1世紀以上も前の社会経済活動を前提とした契約ルールを点検し直し、今の時代に合ったように、企業活動や商取引、消費者に関わるルールを見直す必要が出てきているということがあります。
現在の民法が制定された当時には想定されていなかった契約の形式が出てきたため、法律の条文解釈だけでは解決しきれないトラブルが生じてきているとうことも挙げられます。
例えば、語学学校の授業などを中途で解約した場合の初めに払い込んだ費用返還に関するトラブル、企業の合併・買収交渉の途中での交渉破棄をめぐるトラブルなどです。


◆今後の行方

現在、学者などが参加している「民法(債権法)改正検討委員会」による「改正試案」が発表され、これらが法改正のベースとなっていくものと思われます。
法務省は、早ければ2012年の通常国会に改正案を提出したいとしており、実際に改正が行われるのはまだ先の話でしょうが、「契約」が業務のベースとなっている企業にとっても注目しておくべき法改正だと言えるでしょう。



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「多重派遣」をめぐる労働局による命令事例




◆「二重派遣」で業務停止命令

7月16日、福島労働局は、人材派遣会社から派遣された労働者を別の会社に派遣していたなどとして、福島県の製造業「アルファ電子」に対し、同社の派遣業について1カ月間業務を停止するよう命令を出しました。また、二重派遣となることを知っていながら同社に労働者を派遣していた同県の人材派遣会社(4社)に対しても、事業改善命令を出しました。


◆なんと「三重派遣」の事例も!

また、7月23日、東京労働局などは、東京都の派遣会社「辰星技研」が無届けの派遣会社などから派遣されてきた労働者を二重・三重の派遣状態で日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(青森県)に派遣していたとして、事業停止命令を出しました。
厚生労働省の発表によれば、三重派遣による事業停止命令は初めてのことだそうです。


◆禁止されている「多重派遣」

法律上、労働者供給事業のうち、労働者派遣に該当するものだけが例外的に許されていますが、それ以外のものは職業安定法44条により禁止されています。
「二重派遣」は、A社がその雇用する労働者をB社に派遣し、B社が当該労働者をさらにC社に派遣するケースをいいます。この場合において、B社は、自社が雇用していない労働者を他社(C社)のために労働に従事させていることから、労働者派遣の定義には当てはまらず、こうした行為は職業安定法44条により禁止されます。
二重派遣と判断された場合には、指導や検査等の行政処分がなされるほか、1年以下の懲役または100万円以下の罰金を受ける可能性もあります。



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「高額介護・高額介護合算療養費制度」の申請受付開始




◆申請受付がスタート

平成20年4月から、「後期高齢者医療制度」(長寿医療制度)とともに、「高額医療・高額介護合算療養費制度」(以下、「合算制度」という)が施行されました。
このうち、「合算制度」については、この8月(加入している医療保険や介護保険により受付開始日が異なる)から順次申請受付が始まりました。


◆「合算制度」の内容

「合算制度」は、公的医療保険・介護保険の両方を利用している世帯の自己負担額が重くなり過ぎないように、自己負担額の合計が一定の上限額(年額56万円をベースとして、世帯員の年齢構成や所得区分に応じて設定されている)を超えた場合に、超過分が還付される制度です。
費用の負担については、医療保険者・介護保険者の双方が、自己負担額の比率に応じて負担し合うことになっています。


◆具体的なケース

想定されるのは、高齢の妻の介護により出費が大きくなっていたところ、夫が病気で倒れてしまいさらに高額な医療費がかかってしまうというようなケースです。このようなケースにおいて、できるだけ世帯の負担を少なくしてあげようというのが、本制度創設の趣旨です。
例えば夫婦2人の世帯(ともに75歳で市町村民税非課税)が、1年間(8月1日〜7月31日の間)で、夫が医療保険で30万円、妻が介護保険で30万円を支払った場合、世帯としての年間の負担は合計60万円となりますが、支給申請を行うことにより、この場合の上限額(31万円)を超えた金額である29万円が還付されます。
なお、この「合算制度」の詳細については、厚生労働省のホームページ(http://www.mhlw.go.jp/za/0724/a10/a10.html)にも掲載されていますので、ご参照ください。


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新型インフルエンザに対する企業の取組み




◆再び猛威をふるう新型インフル

新型インフルエンザの猛威はとどまることを知らず、世界保健機関(WHO)の発表によれば、9月6日時点における新型インフルエンザの影響とされる死亡者数は世界で3,200名を突破したそうです。日本でも8月中旬に新型インフルエンザの影響による初の死亡者が確認されました。
薬局の店頭からマスクがなくなってしまうなどの現象も再び起きつつあるようです。


◆企業における取組みは?

東京経営者協会では、8月下旬に「新型インフルエンザ対策の取組み状況に関するアンケート調査結果」(東京都内の会員企業が対象。1,210社のうち237社が回答)を発表しました。企業が事前にとった対策としては、「備蓄品の調達」(72.3%)、「社員の意識啓発」(64.5%)、「対応体制・意思決定プロセスの構築」(50.0%)、「対応マニュアル・行動計画の策定」(47.7%)が上位を占めました(複数回答)。
また、三井住友海上火災保険が行ったアンケート調査(上場企業が対象。3,807社のうち722社が回答)によれば、社内で新型インフルエンザ感染が拡大したときに対応するための「事業継続計画」を策定している上場企業は38.1%であり、新型インフルエンザ対策について「実行中」「対応を策定中」「策定予定」のいずれかと回答した企業はあわせて90.6%でした。


◆企業としては何をすべきか?

その他、企業としては、感染した社員や感染の疑いのある社員にどのタイミングで「自宅待機命令」を出すのか、社員の家族の感染が発覚した場合はどうするのか、社員を自宅待機させた場合の「賃金」や「休業手当」はどうするのかについても考えておかなければなりません。
企業のリスクマネジメントとして、規程の策定なども含め、いざという時に備えて対策を考えておくべきでしょう。



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活用が広がる「動産担保融資制度」とは?




◆融資件数が1年で2.7倍に増加

金融庁の発表によれば、2008年度における「動産担保融資制度」による融資件数が1,387件(前年度比2.7倍)に増加したそうです。金額ベースでは585億円(同63%増)となっています。
絶対額としては、まだまだ少ない融資制度の1つだとはいえますが、どのような仕組みで、企業にとってどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

◆「動産担保融資」とは

動産担保融資制度は、企業が抱えている在庫商品、工場設備・機械、農家が飼っている家畜などの流動性の高い資産を担保として、金融機関が成長の見込める企業などに資金を貸し付ける仕組みであり、アメリカなどでは一般的なものとなっています。
これまでに担保として認められたものの例としては、昆布、りんご、牛、豚、冷蔵設備、建材、鋼材、工作機械、プレス装置などがあります。
融資の金額は、在庫商品の市場価値や取引先の支払能力などが総合的に判断されたうえで、決定されます。


◆動産担保融資制度のメリット

通常の融資制度においては、企業は、金融機関に担保として不動産を求められる場合が多く、土地・建物等の不動産を持っていない中小企業は、融資を受けづらいというのが現状です。しかし、この動産担保融資制度を活用することによって、資金繰りが楽になる中小企業は少なくないでしょう。


◆いくつかの課題も

動産担保融資制度の課題としては、「動産担保の価値を正確に評価することができるのか」ということが挙げられます。これに関しては、金融機関が、担保に設定する動産に関する専門家(いわゆる“目利き”)などと連携するケースが増えているようです。
また、企業にとっては、「在庫を担保にしないと融資を受けられない企業」とみられてしまう点がデメリットとなっているようです。
これらの点がクリアできれば、さらに活用が広がるものと思われます。



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